Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2016年10月4日火曜日

呪みちる『解剖実習/寝台飼育』


呪みちる『解剖実習/寝台飼育』
怖さ:☆☆
造型:☆☆☆
状況:☆☆☆


この記事を書いている時点では、イベント限定販売の同人シリーズ最新作。
このシリーズに関しては、呪先生の共同作業者である餌食姫さんがブログにまとめられてるので、そちらをご参照下さい。
よーし、次こそ行くぞー!と狙っていたものの、気付いた時には「満席です」というお知らせを見かけたイベント。泣いていたのですが、無理を承知で参加者の方に代わりに買って下さい!と焼き土下座したら買ってもらえました。ヤッター

このシリーズ、何が貴重かって、毎回単行本未収録作品が収められてる所に価値の半分以上があるのですが、それ以上に「この短編を描いた時にどういう状況だったか」ってのが描かれてるのがファン的には非常に嬉しい。

で、肝心の作品なのですが、
「寝台飼育」はベッドで寝てたらずーっと寝るようになってしまって、というお話。ベッドの奇妙な造型・変質していく身体は正にホラーマンガど真ん中。惜しむらくは、ホラーマンガの心髄の一つ「説明不足」がマズい方向に向かってしまって、「何が起きてるかよく分からない」ところ。今一歩!
「解剖実習」。こちらは正にタイトル通り解剖実習してたら、部位の一部を持って帰ってしまって、本人に怒られて…というお話。こちらもイヤに生々しい解剖実習の様子・人体の部品のリアリティが真に迫り、正にホラーにおける理想的な「読者の現実を揺らす恐怖感」がグッドな快作なのですが、如何せん終わり方が「理由があって」→「きっちり解決」という、実話ホラーによくある「説明付けエンド」がせっかく積み上げた恐怖感をバラケさせてしまってるのが惜しい!

とはいえ、上記作品は再録ではあるものの、呪みちる先生のスゴいところは「長年続けているのにホラーマンガ的魅力が薄れない」ところ。コレはスゴいです。笑い・恐怖・性、境界線がギリギリなコレらは、発信する側も受け取る側も時間が経つほど鈍化していく。新鮮なものを作り上げ、新鮮に受け取るのはかなり難しいのです。
でも!呪先生には今後も期待してイイ!!と今回も思えるグッドな作品集でした。

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