Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2017年1月13日金曜日

つなん京介(桑原京助)「幽霊が遊ぶ夜の校庭」


つなん京介(桑原京助)「幽霊が遊ぶ夜の校庭」
怖さ:☆☆☆

造型:☆☆
状況:☆☆☆


恐怖ミステリーシリーズ1 恐怖の学校霊。「蝉を食べた少年」つなん京助の短編、「幽霊が遊ぶ夜の校庭」を掲載。


「蝉を食べた少年」が何故小品でかつ作家や載っている本が忘れられていたのに、カルト的な人気を誇っていたのかと言えば、
単純に「蝉を食べさせていたから」。
勿論、展開の異様さ・造形の異様さも要素ではあるんですが、それ以上に「なんでここまでされなくちゃならないのか」「自分がされたら絶対嫌だ」という行為の極みが「ソレ」なのです。
本作はたとえば同作者の蝉や蛙を食べさせるという状況設定や、その後の理不尽な変身の様な、ビジュアル面での強烈さはないものの、
「スポーツ好きな、けれども下手くそなために皆から疎まれる少年が体育倉庫に閉じ込められて見る悪夢」
から始まります。その内容が「スポーツへた、人間やめちまえ、等と言われながらクラスメイトに袋叩きにされて死ぬ」という強烈な悪夢。
この作品が名作だなアと思わせるのは、更にもう2段階恐怖を覚えるシーンを後に控えさせている、という「恐怖の三段オチ」ゆえ、なのですが、けれども「蝉を食べた少年」の如く、「子どもが子どもに行う(行える)最悪な行為」への、つなん京助さんの想像力、それこそがこれらの異様な作品を「異様だ」と読者に刷り込んでくる威力の源、なんでわ、と思います。





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