Subbacultcha

「サブカルチャー」という括りの下、文学・芸術・漫画・映画等について述べます。

2017年2月4日土曜日

史群アル仙とkisuke3『迷うは君の世界 1』

史群アル仙とkisuke3『迷うは君の世界 1』
怖さ:☆☆☆
造型:☆☆☆
状況:☆☆☆
☆満点作品です!

史群アル仙?この「如何にも怖そう」な表紙?ほんでROLLY?
と色々引っかかる点があり、こりゃーダメな方のホラー、サスペンスだかホラーだか分かりゃーせんやつでは?と警戒しながら本を開いたら大当たりでした。

ある山の中の一軒家。迷い込んで来る人間に家主の男が語り始めるのは、何故か「迷い込んで来た人間に関係のある」恐ろしい話…。
ホラーオムニバス、かつ、「山の家の男」という語り手が一応固定で各話が展開していくのですが、
たとえばこういう「狂言回し」のキャラクターが存在する物語は、「狂言回し」もしくは「狂言回しに関わる人」は身の安全が保障されていたり、逆に関わる人は確実に不幸な目・コワイ目に会う、とパターンが固定化されていくことで、「話が続けば続くほど、漫画としてマンネリ化していく」→「怖く無くなっていく」のですが、

この『迷うは〜』は、
「そもそも狂言回しが狂言回しかどうかよく分からない」ので怖さが持続するのです。
どういうことかというと、話によってはこのキャラクター出て来なかったり、もしくはこのキャラクターの別の立場の時(過去)が描かれたり、あからさまに人間ではないことが描かれたり、登場しているのに話によっては人間を助けたり傍観したり、と立ち位置がかなりあやふや。
「世にも奇妙な」のタモリのような。

また、史群アル仙さんがホラー?
と不安もあったものの、よくよく考えれば絵からして永井豪タッチの影響が強く、逆にホラーが描けないワケないじゃん!などと読み終わってから思い始めてしまいます。
流血・内臓ドンと来い。

で、物語が「kiske3」なる謎チームが考えている?ようなのですが、この話もトリッキーで掴み難い。

つまり、表紙はイメージを固定化しちゃってるのであんまり良くないなー、と思うのですが、
全般「不定形」であるが故に、魅力的な作品なのです。描いてて思ったけど、作家・脚本家がいっぱい後ろに控える「世にも奇妙な」の雰囲気に似たものがあるかも。

迷うは君の世界、なんてタイトルに書いてありますけど、
そもそも、迷ってんのかどうかさえよく分からない、なんて状況、滅茶苦茶怖くないですか?というマンガ。



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